化学科に興味があるけれど、「具体的に何を学ぶのかわからない」という人も多いのではないでしょうか?
過去の私もその一人で、不安に思いながら化学科を選びました。
本記事では、理学部化学科で具体的に何を学ぶのか紹介したいと思います。
化学科に決めようか迷っている人はぜひご覧ください。
(大学によって多少内容が異なるかと思います。ご了承ください。)
理学部化学科の講義で学ぶこと
高校のときに「化学」とされていたものは、大学では細分化されより深く学んでいきます。
多くの大学の化学科では次のような分野の化学を学びます。
有機化学
高校化学の最後の単元であった有機化学を掘り下げて学んでいきます。
高校では丸暗記していることも多いですが、大学では仕組みを理解できます。
例えば、
「アセトアルデヒドとアセトンではアセトンのほうが安定」
「濃硫酸を触媒として、ベンゼンに硝酸を加えるとニトロベンゼンができる」
ということを高校ではとりあえず覚えろと言われます。
高校化学は丸暗記多いですよね。
大学の有機化学では、なぜそうなるのかというメカニズムを教えてもらえるので納得できますし、覚えやすいです。
(有機化学をもう習った人は上の2つの例、覚えてますか?試験によく出ますよ!)
無機化学
高校化学の無機といえば、ひたすら元素の特徴を覚えた記憶があります。
大学の無機化学は、結合や金属について詳しく学びます。
「金属錯体の結合はどのように説明できるのか」
「半導体はどのような仕組みで電気を通すのか」
などのことを詳しく学びます。
高校化学にあった酸化還元反応も、大学の無機化学の範囲です。
また、元素の周期表をほとんど覚えることになります、、、。
物理化学
物理化学はその名の通り?ほぼ物理です。
体感ですが、物理8割・化学2割のイメージです。
熱力学をメインで学びます。
(高校生のみなさん、熱力学の第一法則から第三法則まで覚えていますか?大切ですよ!)
微分積分を使って、高校で習った熱力学の公式の細かい導出を行ったり、新たな反応速度式を学んだりします。
数式を使って化学を理解していく分野で、物理と数学ばかりです。
おそらく単位の関係で、生物選択だった人でも物理化学を学ばなければならない可能性が、大きいと考えられます。
生物化学
生物や植物の細胞内で起こる化学反応をメインで学びます。
薬が細胞に働くメカニズムを学んだり、細胞内でエネルギーを作る反応を学んだりします。
DNA・タンパク質・植物の生長など、高校の生物に化学を絡めながら学んでいく感じです。
生物化学系の研究室に入れば、薬品開発に携われる場合もあります。
単位の関係で、生物選択だった人だけでなく物理選択だった人も学ぶ場合が多いでしょう。
分析化学
分析化学は、何の化学物質がが・どれだけあるのか、またそれをどのようにして分析するのかを学ぶ分野です。
酸塩基平衡や中和滴定、酸化還元反応における物質のmol量を計算したり、どのような条件で反応が平衡状態になるのかを求めたりします。
高校化学の理論化学を少し掘り下げた感じで、計算が多いイメージです。
計算が多いですが、大学化学はテスト中でも電卓を使えることが多いので、安心してください。
量子化学
量子化学では、「シュレディンガー方程式」という式をメインで扱う分野です。
まず、方程式をどのように立てるのか考え、その方程式をどうやって解いていくのか学んでいきます。
シュレディンガー方程式の解である波動関数を、近似を用いて求めていきます。
↑の話、高校生のみなさんにはさっぱりピーマンだと思います。
それで大丈夫です。
大学生の私もよくわかっていません笑。
また、高校化学や高校物理ではあまり理解せずに済ましていた分子軌道についても学びます。
量子化学も物理化学と同様、物理や微分積分の知識を頻繁に使う分野です。
理学部化学科の実験で学ぶこと
理学部化学科では主に3年生から実験をよく行います。
1・2人で行う実験もあれば、4・5人のグループで行う実験もあります。
実験は、講義で学んだことが実際に使えるようになるための場です。
研究をスムーズに行うための手段・方法を学びます。
実験だけなら楽しいですが、レポート課題が出されます。
これがけっこう大変。
でも実験ではやっと化学科っぽいことができます。
化学の実験と聞くと、フラスコや試験管を持っているイメージばかりかもしれません。
しかし中には、パソコンで複雑な計算を行ったり、物理のように電気を使ったりする実験もあります。
理学部化学科は高校化学+高校物理
大学の化学をざっくりいうと、「高校化学+高校物理」の難しい版という印象です。
化学科に入るとおそらく、物理の知識が多いなという印象を受けます。
化学科に興味があって、理科の選択をまだ決めていない人は物理・化学の組み合わせがおすすめです。
物理選択の人が生物化学を学ぶのはそんなに苦労しません。
逆に生物選択だった人が、物理化学や量子化学を学ぶのはけっこう大変だと思います。
しかし、生物・化学の組み合わせだからといってあきらめる必要はありません。
化学科の中に生物選択の人は普通にいます。
物理の範囲でわからないことがあれば、その都度解決して乗り越えていけばOKです。
まとめ:理学部化学ではとことん化学を学ぶ
本記事では理学部化学科で学ぶことを紹介しました。
「大学では狭く深く学ぶ」とよくいいますが、本当にその通りです。
化学に特化して、高校では学びきれなかった新しい分野を学んだり、高校で学んだことを深く掘り下げたりします。
また、物理と化学、生物と化学など、他の科目と合わさった化学を学べることも大学の魅力です。
化学科楽しいですよ!